「中国」にされている在日台湾人の国籍

(転送歓迎)
在日台湾同郷会 会長 林 建 良

 日本で長期滞在する外国人は、外国人登録証の常時携帯が義務づけられている。ところが、在日台湾人の外国人登録証にある国籍記載は、「台湾」ではなく、「中国」になっている。それを根拠に、在日台湾人の運転免許証の本籍欄も「中国」にされてしまい、法的には在日台湾人と在日中国人との区別が全くできない状態である。 

 最近、外国人犯罪問題が日本の深刻な社会問題になっている。その中でも、ピッキング、窃盗、殺人等の兇悪犯罪は殆どが中国人グループによるものだ。日本で犯罪を犯した中国人には殆ど罪の意識がなく、中国に戻った中国人犯罪者は英雄視されている。中国では、日本での犯罪行為は過去の中国における日本の犯罪に対する復讐と見なされ、称賛されているのだ。日本人には理解し難いことかもしれないが、中国人にとって、自分の手で日本を打ち負かさない限り、日本との戦争はまだ終わっていないのである。そのような心理情況の下で、日本での犯罪行為は正当化されている。もともと、法治社会を経験したことのない中国人には法を守る精神が希薄であり、ゲリラ戦のつもりで日本で起こした犯罪を法律で裁かれても、彼らは運が悪かったと思うだけなのだ。

 この様な現状の中で、国籍を「中国」にされている台湾人は、日本社会で中国人と誤解され、困惑している。多くの台湾人は、在留申請書の国籍欄に「台湾」と書くのだが、入国管理局の役人はそれを勝手に「中国」と書き換える。抗議しても、「我が国は台湾を承認していないから」と横柄な返事が返ってくるだけである。在日台湾人は、このような侮辱に泣かされても、なす術がない。

 日本政府が在日台湾人の国籍を「中国」にする根拠はどこにあるのか。台湾と同じく日本と国交のない北朝鮮国籍の在日朝鮮人の外国人登録証の国籍は「朝鮮」になっており、在日韓国人の「韓国」とは明確に区別されている。アメリカ、カナダも台湾と国交はないが、台湾人の身分証明、IDカード、ビザ等の国籍記載は「台湾」になっている。

 在日台湾人の国籍記載を「中国」にしている日本政府は、在日台湾人の国籍を「中華人民共和国」と見なしているのか?我々在日台湾人が持っているパスポートは、中華人民共和国が発行したものではなく、我々は中華人民共和国の国民でもない。この事実を日本政府はなぜ無視し、台湾人の国籍を勝手に中国にしたのか?外国人登録法の第四条には、「正しい国籍の記載義務」が明記されている。台湾人の国籍を「中国」とすることは、日本政府自らの違法行為を意味するであろう。

 在日台湾人の国籍を「中国」にすることは、在日台湾人の人権と尊厳を踏みにじる暴挙である。日本政府は、中国には卑屈な態度をとりながら、弱者である在日台湾人の人権は平気で蹂躙している。これまで、旧世代台湾人の親日感情の影響もあり、台湾国民は日本政府の理不尽な政策を大目に見てきた。しかし、強権にはひれ伏し弱者に威張る日本政府の姿は、戦後世代の台湾人には醜悪としか映らない。このような日本は、果たして国際社会で胸を張って歩けるのだろうか?